第1回 インタビュー お医者さんに聞きました「関節鏡視下手術とは」 越智光夫先生 広島大学大学院教授 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)理事長

──関節鏡は日本で開発され、特にここ10年の間に飛躍的な進歩を遂げていると聞いています。今ではどのような手術を関節鏡で行う事が出来るのでしょうか?

関節鏡でできる手術はどんどん広がってきています。膝関節、肩関節、足関節、手関節、股関節、腰椎、肘関節、指関節にいたるまでほとんどの関節で行われています。膝でいうと関節内にある前十字靭帯を再建する手術や、断裂した半月板を縫合する手術などが広く行われています。

──整形外科の先生方は骨の専門家だと思っていましたが、それだけではないのですね。

そうですね。一般的に整形外科は骨のイメージがある方も多いかもしれませんが、運動器と呼ばれる骨、軟骨、関節、筋肉、靭帯、神経、また脊椎・脊髄などすべてに対しての専門家なのです。

──関節鏡で手術を行うメリットはなんですか?

関節鏡では、関節内部の細部の観察や、正面から見ても分かりにくい関節の裏側まで診断することができます。また関節鏡により拡大された患部の画像をモニターに映し出すことにより、手術室のスタッフ全員で関節内部の状態や病態を把握し手術を行うことで、正確で安全な手術を行うことができるようになりました。さらにメスで皮膚に大きな切開を入れる必要がない低侵襲な手術のため、術後も早い回復が期待できます。

──逆にデメリットはありますか?

関節鏡視下手術を行うためには、医師が十分に手技を習得することが必要不可欠となります。そのために、経験を積んだ医師の元での手術見学に始まり、手術のアシスタントを通して技術を習得したり、海外での屍体を用いての研修を通しながら技術を習得していきます。もちろん、教科書や論文を読んでの勉強も必要です。手術の技術が一定のレベルに達していない場合は、オープン式手術より成績が劣るという報告もあります。

──どのような症状があれば、病院に行った方がよいでしょうか?たとえば膝の場合を教えてください。

膝に痛みや不安定感があれば、まずは病院で受診した方が良いでしょう。階段の上り下り、特に下りる際に膝に不安定感がある場合や、曲げ伸ばしをする際に引っかかり感がある時などは受診することをお勧めします。

──どこの病院でも関節鏡視下手術は受けられますか?

関節鏡はかなり普及してきましたが、どこの病院でもできるわけではありません。

──手術をした後、スポーツはできますか?

もちろん、状態にもよりますが、実際、手術後に復帰したトップアスリートは大勢います。またトップアスリートだけではなく、スポーツが趣味という方にとっても、より活発なライフスタイルを取り戻せるでしょう。

──スポーツ選手でないと関節鏡視下手術はしないのですか?

もちろんどなたでも関節鏡視下手術を受けることができます。ただし、患部の状態や手術方法によってはオープン式の手術が適している場合もあります。スポーツ選手か否かはあまり関係ありません。

──手術の痕は残りますか?

オープン式と比べて小さな痕しか残りませんので、ほとんど目立たないようになります。

──関節鏡視下手術では、術後のリハビリは他の術式と比べて変わりますか?

リハビリは患者さんの状態を見ながら行いますので、関節鏡だからという要素よりも、個々の状態によって変わってきます。ただし関節鏡で手術をすると、侵襲が少ない分、術後の復帰が早く、その分リハビリに移る期間は早くなります。