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  • 肩関節の痛みと治療法

肩関節

監修 井樋栄二先生 東北大学教授

関節鏡視下手術とは?※クリックすると詳しい説明がご覧いただけます。

  • 活動的なライフスタイルを取り戻す
  • 関節鏡視下膝関節手術の対象者
  • 肩関節のしくみと機能
  • 腱板断裂
  • 肩関節不安定症
  • 保存的療法の選択
  • 関節鏡視下肩関節手術の選択
  • 低侵襲性肩関節手術 腱板修復 肩関節不安定症の治療
  • リハビリ

活動的なライフスタイルを取り戻す

天気の良い土曜の午後、あなたは友達から公園でバレーボールに誘われました。行きたい気持ちはあるのですが、バレーボールから帰宅した晩に感じるであろう肩の痛みについて心配になり始めました。最近ではほとんど何をする時でも、食器棚のコップに手を伸ばす時でも、肩に痛みを感じるようになったのです。

身体を活発に動かしていると、生活にエネルギー、意欲、バランスが生まれます。低侵襲の関節鏡視下肩関節手術は、あなたをもう一度活発に動けるようにしてくれるかもしれません。高度な医療技術により、痛みの原因を調べ、関節鏡視下肩関節手術によって患部を治療することができるかもしれません。従来までの皮膚をメスで切開するオープン式肩関節手術と比べると、関節鏡視下肩関節手術は傷跡が小さく、また術後の痛みが少ないため、これまで通りの運動やライフスタイルにより早い時期で復帰することが期待できます。

関節鏡視下膝関節手術の対象者

肩に痛みがある、または肩が思うように動かない患者さんは、関節鏡視下肩関節手術が有効である可能性があります。肩関節の損傷があり、保存的療法では改善を得られない患者さんの多くが、この低侵襲手術を受けることで良い結果を得ることができます。ここでは肩関節のしくみと機能について、また腱板断裂や肩関節不安定症が肩に及ぼす影響について解説をしていきます。さらに、これらの状態を治療するのに用いられる関節鏡視下肩関節手術について段階を追って説明します。

肩関節のしくみと機能

肩は球窩関節(ボールがソケットにはまるような形をしている関節)で、身体の関節の中で最も可動範囲が広い関節です。このため、損傷や組織変性といったリスクを生じます。肩を構成する骨は上腕骨、鎖骨、そして肩甲骨です。上腕骨の球状部(上腕骨頭)の側は軟骨で覆われていて、これは肩のくぼみ(関節窩)の中で滑らかに動きます。鎖骨は肩を胸郭に結合しており、肩が身体から外れないように保っています。肩甲骨は上体の背側にある大きい三角形の骨で、関節によって鎖骨につながっています。

上腕骨はゴルフのティー上のボールのように、肩の窩にあり、複雑に配列された筋肉、腱、靱帯によって支えられています。腱板は4つの肩の筋肉を上腕骨頭に結び付けている腱の集まりです。これらの腱は上腕骨をその浅い関節窩内に維持し、腕が関節内で自由に動くようにするのに役立ちます。

腱板断裂

腱板断裂の発生には年齢が大きな影響を与えます。年齢を重ねるにつれ腱板組織が老化し、腱が弱くなると断裂が起こる確率も高まります。このため断裂は40歳以上の人に多くなっています。しかし手を頭上に上げる動作を繰り返し行えば、腱板の劣化が加速します。手を上に上げて仕事をする人たちは頻繁に腱板炎を患い、この腱板炎は最終的に腱の断裂に進行することがあります。

また野球のピッチャー、水泳選手、テニスプレーヤーといった、手を頭上で繰り返し使用する動作を行うアスリートにも良く起こります。自転車から落下するといったような1回の外的要因による強打で断裂が起こることもあります。
腱板断裂が起こると、主に肩の上部および前側に痛みを感じます。また、時には肩の側面で痛みが起こることもあり、手を肩より上に上げる動作時に強い痛みを感じることもあります。また肩の筋力低下とこわばりを感じることもあり、食器棚に皿を置くといった簡単な手を頭の上にあげる動作も困難になることがあります。断裂がある人の中には、腕を上げて髪の毛をとかすことが困難となることがあります。こわばりは肩を動かせないことから生じることもあり、このこわばりは進行することがあります。

腱板断裂では滑液包炎(関節の周りにある小さい嚢胞の炎症)が起こることが多く、それにより肩で軽くポンとはじけるようなまたはパチパチと割れるような感覚を生じることがあります。断裂自体がこすれることによってこの感覚が生じていることがあり、就寝時に肩を下にして寝るのが困難になることもあります。

腱板断裂が日常生活の障害になり始めた場合、低侵襲の関節鏡視下肩関節手術が必要かもしれません。あなたが楽しみにする運動を再開し、夜ゆっくりと休むことを取り戻すための肩の機能を回復させます。

肩関節不安定症

肩関節不安定症は、肩関節周辺の構造が緩み、浅い窩内に上腕骨頭を維持することができない時に起こります。関節が非常に緩くなると、肩関節がその場から部分的に関節窩から滑り落ち、肩関節亜脱臼という状態になることがあります。

関節が完全に外れる場合(肩関節脱臼)、肩を支える靱帯が断裂し、上腕骨頭に欠損を生じる場合もあります。通常、この損傷はしっかりと治癒せず、肩は脱臼とさらなる肩関節不安定症の出現を繰り返す傾向があります。

肩関節不安定症があると、ある動作によって突然の痛みが生じたり、腕が麻痺している感覚を覚えたり、あるいは肩が関節から外れたり戻ったりする感覚を感じることがあります。完全脱臼を起こしている場合、関節をはめ直すことが難しくなるのに加え、重度の痛みを感じることがあります。

肩関節不安定症の中には、安静とその後のリハビリによって治療できるものもあります。しかし一定の症例においては、医師が手術を勧めることがあります。複雑な損傷、再発性の不安定症、および再発による更なる損傷、または活動に制限のある年齢の若い患者の初めての脱臼がそれにあたります。

保存的療法の選択

腱板断裂または肩関節不安定症の治療には、いくつかの保存的療法も選択されます。

  • アイスパック : 腕を休めながら腫れを取ります。
  • 抗炎症剤 : 関節の腫れを減らし、痛みの一時的な緩和をもたらします。しかしすべての薬にはリスクがあるため、必ず薬剤師や医師と相談して使用する必要があります。
  • 理学療法 : 肩が通常の動きを取り戻すのに役立ち、筋肉を強化します。

関節鏡視下肩関節手術の選択

他のすべての保存的方法がうまくいかなかった場合、関節鏡視下肩関節手術を検討します。これは肩の痛みのためにあきらめていた活動的なライフスタイルを取り戻すための積極的な方法です。

関節鏡視下肩関節手術は以下の効果が考えられます。

  • ・疼痛の軽減
  • ・肩関節の安定性の改善
  • ・断裂および損傷の治療
  • ・QOL(生活の質)の改善
  • ・日常生活活動を快適にする

毎日、世界中の何百万人もの人々が肩の疾患に対する治療を探し求めています。
近年の手術技術や手術器具の改良に伴い、患者さんは肩の痛み、肩の機能、QOLの向上に対する目覚しい改善が見られます。

低侵襲性肩関節手術

腱板修復

腱板修復手術では、まず関節鏡により肩関節内の検査を行います。次に関節の周りにある、肩峰下滑液包(液体を含んだ小さい緩衝作用の嚢胞)を検査し、続いて腱板自体の検査を行います。
損傷した組織の除去や、肩峰(肩の先端にある骨)下面の除圧(骨を削って整える)、断裂した腱板の縫合などを行います。このような操作は低侵襲な関節鏡のもと、特殊な器具を用いて行うことが可能です。

肩関節不安定症の修復

何年もの間、肩関節不安定症には、オープン手術によって関節唇と呼ばれる関節窩の断裂した唇状組織を修復する治療が行われてきました。しかし今や多くの整形外科医は、肩関節不安定症には関節唇断裂だけが関係しているのではないという見解をもっています。低侵襲性の関節鏡視下肩関節手術を用いて整形外科医は肩関節内全体を観察することができます。その結果に基づいて治療方法(関節鏡視下またはオープン手術)を決定することができます。関節鏡視下肩関節手術は小さな切開によって行われるため、痛みが少なく、より早い回復が期待できます。

リハビリ

腱板手術および肩関節不安定症修復後のリハビリのステップは、医師によって異なります。リハビリにどのような活動が使われるかを知るには、整形外科の専門医にお問い合わせください。

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